2022.05.26

電気自動車を家庭用電源に変えるV2H。その特徴とメリットを紹介!

「災害の時に電気自動車を非常用電源として活用できないかな?」
「太陽光発電で電気自動車を充電したい」

電気自動車を日常生活はもちろん、災害時にも有効活用できるようにするV2Hというシステムが注目を集めています。世界的にも広がるカーボンニュートラルな暮らしを実現するにあたり、重要な役割を果たすV2H。その特徴や導入によってもたらされる4つのメリットをご紹介します。

 V2Hとはどんなシステム?

2019年9月、台風15号の影響で千葉県内は大規模な停電にみまわれましたが、復旧まで電気自動車を蓄電池として活用して乗り切った避難所などがあったことは記憶に新しいところ。 V2Hとは「Vehicle to Home」の略。「乗り物(自動車)から家へ」という意味のとおり、V2Hは電気自動車に貯めた電気を住宅で有効活用するシステム・仕組みです。

V2Hの「4つのメリット」で暮らしが変わる!

昨今、台風や地震などの自然災害による被害が拡大・長期化する傾向がみられます。あわせて、二次災害として大規模停電が頻発しているのを背景に、非常時の電力確保が最大の課題になっています。そこで、家庭用蓄電池の代わりに電気自動車を活用できるシステム「V2H」に注目が集まっています。電気自動車を普段は移動手段として活用しつつ、災害時には家庭用蓄電池として使用できるようにするV2Hには大きく4つのメリットがあります

<V2H導入の4つのメリット>

電気料金の節約

V2Hを導入し、上手に活用することによって電気料金を節約できます。電気料金単価を安く設定している深夜電力で電気自動車を充電すれば、電気料金の節約が可能。また、電気自動車を走らせないときには、電気自動車に蓄えた電気を家庭内で利用すれば、その間は新たに電気を購入せずに済むのでさらなる電気料金の節約にもつながります。

非常用電源として活用できる

台風や地震、大雪などの自然災害による停電時もV2Hと電気自動車があれば、電気自動車を非常用電源として活用できます。非常用電源として家庭用蓄電池もありますが、電気自動車が搭載するバッテリーは家庭用蓄電池に比べて大容量。車種によって供給性能は異なるものの、ある自動車メーカーの報告では1世帯あたりの消費電力量の全国平均の「約4日分」を供給できるとされています。

太陽光発電との併用で経済的にも環境的にも優しい暮らしに

すでに太陽光発電を設置している場合は、V2Hとの併用で経済的にも環境的にも「優しい」メリットがあります。これまでは太陽光発電で発電した余剰電力を売電し収入につながるケースがほとんどでしたが、電力の買取期限が切れると(いわゆる「卒FIT」のこと)一般的に買取価格が大きく下がります。そのため、売電するよりも電気自動車を活用し、余剰電力を家庭でできるだけ使い切ってしまったほうが経済的にお得です。また、今後カーボンニュートラルが推進されていくうえで、再生可能エネルギーである太陽光発電の重要度がますます高まっていくことでしょう。V2Hと太陽光発電のシステムでクリーンな電気を「自給自足」することにより、CO2排出量が削減され、地球環境に優しい暮らしが叶います。

電気自動車へ高速充電できる

V2Hは、現在広く普及している電気自動車の200V充電スタンドに比べ、充電時間が高速という特徴があります。なかでも倍速充電機能を搭載しているV2Hならば、200V充電スタンドの約半分の時間でフル充電が可能。たとえば200V充電スタンドでは8時間前後かかるところを、V2Hでは4時間前後でフル充電できてしまいます。つまり深夜に帰宅し、翌朝すぐに自動車を使えるので不便を感じません。

V2Hの導入には必要な「条件」があります

すでに電気自動車を所有していても、V2Hを導入できないケースがあります。そこで、V2Hをスムーズに導入するための条件を確認してみましょう。

V2H対応の電気自動車が必要

現在販売されているすべての電気自動車がV2Hに対応しているわけではありません。つまり、すでに電気自動車を所有していてもV2H非対応の車種である場合、V2Hの導入はできません。したがって、V2Hを導入する場合にはV2Hに対応する電気自動車を用意する必要があります。

<国内自動車メーカー別 V2H対応車種>

メーカー対応車種
トヨタ・プリウスPHV
・MIRAI
ホンダ・Hondae
日産・リーフ
・e-NV200
三菱・エクリプスクロスPHEV
・アウトランダーPHEV
・i-MiEV(アイミーブ)
・MINICAB-MiEV(ミニキャブミーブ)

自宅と駐車場が隣接していること

V2Hは電気自動車と住宅とをケーブルでつないでそれぞれの間で電気をやり取りするシステムです。そのため、自宅の敷地内にV2Hを設置できる場所を確保できること、自宅のすぐそばに電気自動車を置ける場所のあることがV2H導入の必要条件になります。

V2Hには2種類あります

V2Hを導入する際には条件があることを紹介しましたが、次に確認しておきたいのはV2Hにも「種類」があるということ。現在、普及しているV2H機器には「非系統連系」と「系統連系」の2種類があります。非常時に電気自動車をバックアップ電源として使用できるようにするのは「系統連系」のV2Hです。

「非系統連系」型のV2H

V2Hは、電気自動車のバッテリー・電力会社からの電気・自宅の太陽光発電で作った電気という3つの電気系統をつなぎます。しかし「非系統連系」のV2Hは、それら3つの電気系統を連携させて使用することができません。たとえば、電気自動車から住宅のほうへ電気を供給しているときには、太陽光発電や電力会社からの電気は使用できないということ。さらに、停電時に太陽光発電から電気自動車へ充電できないことにも注意が必要です。

「系統連系」型のV2H

「系統連系」のV2Hは、電気自動車のバッテリー・電力会社からの電気・自宅の太陽光発電で作った電気という3つの電気系統を連携させ、同時に使うことができるシステムです。非系統連系とは異なり、停電時にも太陽光発電から電気自動車へ充電できます。たとえば、昼間は太陽光発電でできた電気を電気自動車に貯めておき、夜間は電気自動車から住宅へ貯めた電気を供給するという使い方が可能。つまり、非常用電源として使えるのは系統連系のV2Hであることを覚えておきましょう。

まとめ

災害時の非常用電源として電気自動車を活用することを可能にするV2H。V2Hを導入することによって電気料金を節約できたり、非常用電源として活用したり、太陽光発電との併用で経済的にも環境的にも優しい暮らしを実現できたり、電気自動車へ高速充電できるなどのメリットが得られます。ただし、V2Hの導入には電気自動車や設置場所などに「条件」があるほか、非常用電源として使用できる機器とできない機器があるので注意が必要です。そのほか、V2Hについて気になることなどがあれば、まずは私たちアイコミュニケーションズまでご相談ください。