V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車(EV)に蓄えた電力を家庭に供給できる次世代のエネルギーシステムです。脱炭素化への関心の高まりとともに、V2Hを家庭に導入する方も増えています。
しかし、いざ導入を検討すると「どんな工事が必要なのか」「費用や期間はどのくらいかかるのか」「専門業者でないと対応できないのか」など、気になる点が多くあるはずです。
本記事では、V2Hの設置を検討している方々に向けて、設置までの流れや工事内容をわかりやすく解説します。
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V2Hとは何か? なぜ今注目されているのか
V2Hとは、電気自動車(EV)のバッテリーに蓄えた電力を住宅に供給するシステムです。これにより、停電時のバックアップ電源として活用できるほか、電気料金の安い夜間に充電し、昼間に家庭で使用することで電気代の節約も期待できます。
特に、日本のように自然災害が多い地域では、停電対策として導入を検討する家庭が増えています。
このように、再生可能エネルギーの利用促進や、非常時のレジリエンス強化の観点からも、今後ますます重要な役割を果たすとされています。
V2H設置の前に知っておきたいこと
V2Hシステムを構築するには、いくつかの専用機器と配線工事が必要になるため、まずは設置できる条件やシステム購入時に利用できる補助金制度などを調べておきましょう。
■設置に必要な条件:
・EVを所有していること(または今後購入予定)
・自宅に駐車スペースがあること
・分電盤の構造や電気容量がV2Hに対応していること
これらの条件を満たしていれば、多くの場合V2Hの設置が可能です。ただし、建物の構造や電気設備の状態によっては、追加工事が必要になる場合もあります。
■費用感・補助金制度:
V2H機器本体はメーカーや機能により異なりますが、おおよそ50~80万円前後が相場です。工事費を含めた総額では100万円を超えるケースもありますが、国や自治体による補助金制度を利用することで、大幅に負担を軽減できることがあります。
・V2Hの価格と工事費用の目安について
V2Hを設置するまでの流れ
V2Hシステムの導入には、実際の工事に入る前のプロセスがいくつか存在します。スムーズな設置と確実な運用を実現するためにも、これらのステップを正しく踏むことが重要です。
1. お問い合わせ・ご相談
最初のステップは、V2Hの取り扱い業者への問い合わせや相談です。
設置可能かどうか、費用の目安、自宅環境への適合性、補助金の有無など、導入前に気になる点を確認します。
最近ではオンライン相談や訪問・説明を無料で提供する業者も増えており、初めての方でも気軽に相談しやすくなっています。
2. 現場調査
導入可能と判断された場合、次に行われるのが現地での調査です。
具体的には以下のような点を確認します。
・V2H本体の設置スペースの有無
・分電盤の配置と容量
・車両との距離や駐車位置
・配線・配管ルートの検討
この調査結果をもとに、どのような工事が必要か、オプション工事の有無、工期・費用の概算が明確になります。
3. ご契約・申請手続き
見積もりや工事内容に納得がいけば、正式な契約手続きに進みます。
同時に、電力会社や自治体に対する必要な申請手続きも業者が代行して進めるのが一般的です。
例えば、V2H機器の系統連系(住宅の電気系統との接続)に関しては、電力会社への届け出が必要です。
また、補助金を活用する場合には、契約前または契約と同時に申請を行わなければならないケースもあるため、注意が必要です。
4. 設置工事
申請が完了し、機器の準備が整った段階で設置工事が実施されます。
この工程については、次の項目の「工事のおもな工程とスケジュール感」で詳しく解説しますが、配線・機器取り付け・設定など複数の専門作業が含まれます。
5. 動作確認・設置完了・引き渡し
工事完了後は、システムの設定と動作確認が行われ、問題がなければ正式に引き渡しとなります。
充放電のチェック、切替スイッチの操作確認、通信アダプタの接続確認などが含まれます。あわせて、施主に対する使い方の説明や注意点の説明もこのタイミングで行われます。
施工業者によっては、引き渡し後のサポート体制やメンテナンスの案内もあるため、長期的に安心して使用するためのポイントとして確認しておきましょう。
このプロセスを踏むことで、V2Hの導入が初めての方でも安心して進めることができます。特に現場調査と契約前の相談は非常に重要であり、「設置できるかどうか」だけでなく「どこまで最適な運用が可能か」を判断するための大切な機会ととらえましょう。
工事のおもな工程とスケジュール感
V2Hシステムの設置工事は、おおまかに6つの工程に分かれています。
それぞれの作業は専門技術を要するため、基本的には認定を受けた施工業者による実施が前提となります。
1. 基礎工事
V2H機器の多くは屋外に設置されるため、まずは機器を設置するための基礎(コンクリート台)を施工します。地盤の状況によっては、土間打ちやアンカー固定が必要となることもあります。
水平が確保されていないと機器が傾いてしまい、長期使用に支障が出るため、正確な施工と水平調整が求められます。
基礎工事は天候に左右される場合があり、雨天時は日程を変更するケースもあるため、工程全体の調整が必要です。
2. 本体設置
基礎が固まった後、V2H本体(充放電器)を設置・固定します。機器の重量は100kgを超えることもあり、複数人での搬入と固定作業が必要です。
屋外用のカバーや雨避けが必要な場合は、この段階で同時に取り付けます。
製品によっては接地(アース)工事も求められるため、安全基準に準拠した取り付けが必須です。
3. ブレーカー・切り替えスイッチの取り付け
住宅内の分電盤にブレーカーを増設し、V2Hシステム専用の回路を設けます。
あわせて、停電時にEVからの電力を家庭に供給できるようにするための自動または手動の切り替えスイッチも取り付けます。
この作業には電気工事士の資格が必須であり、誤配線や過電流に対応するために慎重な作業が求められます。また、既存設備との干渉を避けるため、事前に綿密な現地調査が重要です。
4. 通信アダプタの取り付け
V2Hシステムは、EVや家庭内エネルギー管理システム(HEMS)との連携を行うために、通信アダプタを設置します。これは多くの場合、宅内のルーター付近や分電盤の近くに設けられます。
通信が不安定だと電力の流れが正しく制御されず、思わぬトラブルを招く恐れもあるため、配線の取り回しや電波状況の確認も重要なポイントになります。
5. 配管・配線工事
V2H本体から分電盤、通信機器、EV接続部までの電源線・信号線の配線作業を行います。屋外の工事では、雨風から保護するために防水性の高い電線管(PF管など)が使用されます。
また、建物外壁への穴あけが必要になるケースもあり、建築構造への影響を最小限に抑えつつ施工するためには、経験豊富な業者による計画的な作業が求められます。
6. 設定・動作確認
すべての機器が接続された後は、システム全体の設定と動作確認を行います。
おもなチェック項目は以下の通りです。
・EVとの充放電が正しく行えるか
・家庭への電力供給が切り替わるか(自動・手動)
・通信状態が正常か
・安全装置が適切に作動するか
また、施工業者によっては、住まい手に対する簡単な使い方説明や緊急時対応マニュアルの配布などを行うところもあります。
工期の目安と作業日数はどれくらい?
標準的な戸建て住宅でのV2H導入の場合、現地調査から工事完了まではおおよそ「1週間〜10日間」が目安です。
ただし、実際の作業日は1〜2日程度に収まるケースが多く、施工スタッフは通常2〜3名で対応します。一方で、太陽光発電システムとの連携や既存の分電盤の容量変更が必要な場合は、さらに日数や工数が増えることもあります。
屋外に設置スペースが取れない場合は、壁面の補強や配管延長工事が必要となり、工程が複雑になることもあるため注意が必要です。
V2Hの設置工事は専門業者が施工します
V2Hの設置には、法的にも技術的にも一定の資格・条件が必要です。
特に、住宅の主幹回路に関わる高出力設備を扱うため、「第二種電気工事士」または「第一種電気工事士」の資格が必要になります。
無資格者による施工は、法律違反であるだけでなく、火災や機器の故障といった重大なリスクを招きます。また、V2H機器の多くは高度な制御ソフトを内蔵しており、正しい初期設定や通信調整が求められます。
これらはメーカー研修を受けた施工業者でなければ対応できないケースも多く、保証や補助金の条件として「認定施工業者による設置」が義務づけられることもあります。
工事に関わる費用と注意点
V2H機器そのものとは別に、設置工事にも費用が発生します。一般的には15万円〜30万円前後が目安となりますが、これはあくまで標準工事の場合の概算です。配線距離が長い場合や、コンクリート壁に穴をあける必要がある場合などは、追加費用が発生します。
また、補助金の対象になるかどうかで自己負担額が大きく変わるため、事前に地域や自治体の制度を確認しておくことが重要です。
見積もり段階では、必ず「基本工事費」と「オプション費用」を明示してもらうようにしましょう。
まとめ
V2Hは非常時の備えとして、また日常的なエネルギーマネジメントとしても大変有効なシステムです。しかし、その設置には高い専門性が求められるため、信頼できる業者選びが非常に重要です。
無料での現地調査や、施工後のアフターサポートを提供している業者であれば、初めて導入する方でも安心して相談できます。
正しい知識と技術を持ったプロの手によって、安全で快適なV2Hライフをスタートさせましょう。
V2Hの導入を検討される際は、ぜひアイコミュニケーションズまでご相談ください。専門スタッフが最適なプランをご案内いたします。

